書斎は犬と同居

子犬を新しく迎えて、我が家のペットは猫プラス犬になりました。

タローが来て、シンとカイの生活も変わった。
今までは、家の全てが二匹のテリトリーだった。
それが、タローが二階を本拠地にしてからは、二階へ行くことを制限されるようになった。
なおかつ、タローを下へ降ろした時は、二匹の猫は、一室に閉じ込められた。aIMG_6486
猫は、それをタローのせいと認識するかどうかはわからない。
犬のせいととらえるとらえないは別として、今までの生活よりは緊張する場面は増えたはずだ。
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カイは、タローよりも自分の方が力が上とわかってからは、隙あらばタローに攻撃をしかける。
タローは、ひたすら逃げる。
カイはタローを追い詰めそうになる。
どちらかが怪我しても困るので、人が間に割って入る。

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あまりに吠えがひどいので、次のことをやってみた。
①吠えた時は、タローを見たり、かまったりしない。
②ケージから出す時間を長くする。
どれが効き目があったのかはわからないが、吠える回数が減った。
一番効き目があったのは、狂犬病予防接種が終わって、散歩を本格的に始めたことのような気がする。

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元気だということは、見ていてわかる。
便の状態がいい。
尿の量と色、臭いも変化がない。
食べ方、食べる量も安定している。
体重は、今7.8㎏、徐々に増え続けている。
3回めのワクチンの時の獣医師も特に問題はないとの診断。

経験はあるが、何回見ても、子犬の成長スピードのすさまじさを感じる。
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小さな体のどこから出るか、と思うほど大きな吠え声だ。
そばで吠えられると、耳がキーンとするほどだ。
どんな時吠えるかを観察。
①誰からもかまってもらえず、遊んでもらいたいとき。
②おしっこをしてトイレが汚れているとき。
③人と遊んでいて、興奮したとき。
それ以外では吠えない。
①~③をなくしてやればほとんど吠えない。
でも、タローの要求に応えていては、こっちの活動が成り立たない。

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私とカミさんの食事の時、シンとカイは、私とカミさんの椅子に来る。
シンとカイには、ヨーグルトと、その他いくつかの食べ物だけは少しだけやることがある。
ペットに食べさせるものを、今までの犬と猫でいろいろと試したが、結論は人の食べ物を一切やらない、が最良だ。
ペットフードがこれだけ進化しているのだから、ペットのおやつも害の方が多いと思う。
シンとカイは、そこまで徹底する前の時期もあったので、なるべく害のなさそうなものだけは時々やっている。
でも、一度でも人の食べ物を許すと、それは何年経っても覚えている。

タローは、おやつも銘柄の違うペットフード(ドライ)だ。
タローは、まだ外の世界をほとんど知らないので、私が物を食べても無反応だ。

5時30分、タローだけで寝ている書斎へ。
タローは、まだ寝ぼけ眼。
6時、もう一度のタローのケージへ。
夜中していないおっしこを、たっぷりとケージの中のトイレに。
ケージから出して、私は自分のすべきことを。
タローは、しばらくまつわりついて、部屋の中のパトロールへ。
そのうち、臭いが。
部屋の隅に置いたトイレにうんこを。
うまくいかないこともあるが、ケージの中、部屋の中のトイレは覚えた。aIMG_6475
家に来たのが、六月中旬、今は九月初旬、この間毎日毎日子犬の排尿と排便を観察し続けた。
その結果が、今の様子だ。
これで、タローを部屋の中へ安心して出してやることができるようになった。
失敗はつきものだが。

タローは、震度5の時はケージの中にいた。
ケージの中にいなければどうしたのかは、わからない。

タローは、カイに追いかけられると、私の後ろか、ケージの中か、キャリーケースの中に避難する。
地震の場合もそうなのだろう。

タローについてひとつわかったことがある。
恐いとおとなしくなることだ。
最近のタローのうるささには辟易することもある。
そのタローがまるで動かないし、吠えない。
食欲はあるし、排泄もしている。
体に悪い所があるのではない。
精神的に怯えているのだろう。
逆をいうと、動き回り、人を見ると遊べとまつわりつき吠えるのは、子犬が心身ともに健康な証拠なのだと思う。
ケージの中でうずくまり、一匹にしても吠えもしないのは扱いは楽だが、ダメージを受けている証拠だと思う。

また、タローは猫よりも人の生活振りに密着しているのもわかった。
電気がこないで、ライトを頼りの夜には、ライトで照らされるのをいやがるどころか、懐中電灯の光に安心する様子さえ見られた。

地震後の停電から暗闇の一夜を過ごし、二日めの夜になってやっと電気が復旧した。
暗い家の中に電気の照明が灯り、家電のいろんな音がするようになって、タローはやっと元気を取り戻した。
灯りや家電の音というよりも、ホッとした私とカミさんの顔や声に反応したのだと思う。

犬はとことん人の暮らしに寄り添っている。

九月六日の午前三時に震度五の揺れがあった。
人だけでなく、猫と犬も同時に或いは、人よりは少し早くそれを感じたと思う。
人は揺れが何度かあるまでは眠っていたが、猫は最初の揺れで目覚めたようだ。

猫は、その直後に自分で最も安全な場所へと避難した。
シンは洋箪笥の中、カイはベッドの下。
シンが逃げ込んだ洋箪笥は納戸においてある。
そこは、家の中では昼間も暗くて、人の目のない所で、通気のために細く開けてあるドア以外は完全に囲まれている空間だ。
カイが逃げ込んだベッドは、普段は使わない部屋に置いてあり、私とカミさんが使っているベッドと違って、下に潜り込める構造になっている。
シンとカイは一階にいたが、揺れの初期段階で、二階に駆け上り、それぞれの場所に身を隠したとしか考えられない。
普段から災害の場合はここに避難と決めていたかのようだ。

そして、二匹の猫は、地震から二十四時間以上、それぞれの避難場所からまったく動かなかった。
水も食べ物もとらないし、排泄もしていない。

まず、カイが一階に自分から降りて来たのが停電の一夜が明けた七日の朝だった。
シンは、カイが避難場所から出て来ても、出て来ない。
カイが、動き始めたので、少し経ってから、カミさんがシンを抱いて居間に連れて来た。
そして、二匹はカミさんのそばで少しずつ水を飲み、フードを食べ、おっしこもした。

シンもカイもそれから数日は、余震の度に机の下に隠れて過ごした。
今でも、猫二匹は余震に敏感だ。
余震でなくても、物音に怯える様子を見せる。
いまだに食べる量は、いつもより少ないし、時間もかかっている。

カミさんは、地震から一週間が経とうとした今でも、二匹が怯えないように、声をかけ、フードを少しずつやり、気を配っている。

今回の地震についての私の情報源はもっぱらラジオだ。
停電でも、タブレットやスマホを通してテレビ放送から情報をえることもできる。
でも、ふだんからラジオを聞き続けているので、ラジオに頼っている。
災害時のラジオの欠点は、言うまでもなく、映像面だ。
電気が復旧して、テレビを見るようになって震源地付近の地滑りの様子が映像からわかる。
ラジオでは、こういう情報は伝わらない。
一方で、ラジオはアナウンサー・アンカーの肉声を聞き続けるので、その面で精神的な支えになる。

猫は午後になってもまったく動かない。
猫と一緒の生活で、今回のような甚大な自然災害の経験はなかったが、何か異変があると、猫がこういう行動をとることは以前にも経験していた。
だから、カミさんも私も、抱いたり、無理にフードを食べさせようとせず、たまに声をかけるだけにしていた。
タローは、朝こそフードをいつものようには食べなかったが、時間をおいて与えると、結局午前中にはいつもの朝の分量を食べきった。
ただし、うんことおしっこをしない。
そこで、余震が続いていたが、ケージから部屋の中に出した。
そうすると、ケージの外のトイレへ行って、早速おしっこをした。
この日一日は、タローは、ケージの中のトイレには一切しなかった。

停電は、同じ市内でもすでに復旧している所もあるのが伝わってくる。
同時に、北海道全体での電気の復活には、数日はかかるということも報道される。
午後になり、今日中の電気の復旧は無理かもしれないと覚悟を決める。

夕方になっても、シンとカイはそのままで、フードも食べないし、水も飲まないし、おっしこ・うんこもしない。
人目がないときにしているかと思うが、その形跡はまったくない。

タローは、フードも水も食べ飲みするし、うんこ。おしっこもする。
ただし、普段の活発さ賑やかさと比べると、まったくの別人、いや別犬だ。

停電で、外出や買い物もままならない。
頻繁な余震もある。
そういう危機感と不安の一方、何もできない倦怠がある。

こういう状況で犬と猫がいると、犬と猫のことを心配し世話をしなければならない一方、平常時と同じように気持ちを和らげてくれる存在であることに気づく。

停電は続いている。
でも夜が明けて、明るくなったので、動きは楽になる。
明るくなって、フードをやると、タローは食べ始めるが、いつもの量の半分も食べない。
それよりも、いつもならうんことおしっこをする時間なのに、それもしない。
無理もないだろうと思い、様子を見ることにする。

シンとカイも同じで、カミさんが声をかけても、水やフードを持っていってもまったく受け付けない。

カミさんは、カセットガスコンロを出して、朝ごはんの準備を始める。
我が家の熱源は、普段は電気だけだ。
電気はだめだが、上下水道は大丈夫のようだ。
この停電も数時間で復旧するだろうと思っていた。
ラジオは、気象庁の地震についての発表を流している。
また、停電の原因も報道し始めた。
停電は、長引きそうだ。
電池や、食料も備蓄に心配はない。
カセットコンロのガスボンベも数日分はある。
犬と猫のフードやペットシートと猫砂も予備がある。
外は、信号機がついていないので、車での外出はしない。
家で電気の復旧を待つ。

もし、人と犬と猫の食料や必需品がなければ、落ち着いて家にいることはできなかっただろう。

午前中いっぱい、シンとカイはジッとしたまま。
タローは、動くことは動くが、普段の活発さはない。
シンとカイは、家から出ることはないので、その面では不安はない。
タローは、ケージの中にいるのは普段でもあるので、そこも不安はない。
特にすることもないが、タローのいる部屋にいつづけることもできないので、タローだけにする。
タローは、おとなしくケージの中にいるので、普段よりも扱いやすいほどだ。

余震は頻繁にある。
もしも、さらに強い揺れがきて、避難しなけばならなくなったら、犬と猫をそれぞれキャリーケースに入れて運ばなければならない。
たとえ、車が使えたとしても、キャリーケースを三つ抱えて、どれだけ移動できるだろうか。
また、指定の避難所(近くの小学校)にその状態で行って、犬と猫はどのくらい耐えられるだろうか。
犬と猫を連れて避難することを想定すると、人だけで避難するよりも格段に難しいと切実に思う。

これがほんとうにタローなのか?

いつも起きる時間、五時がもうすぐだ。
ヘッドライトをつけて二階に上がり、書斎のカーテンを開く。
タローは、ケージの隅から動いていない。
ケージを開けると、ノロノロと私の膝にくる。
私の手をゆっくりとなめ、私に体をふっつけて動かない。
これがタローなのか?
いつもなら一秒とジッとしていない。
飛びつき、なめ、動き回るはずなのに。

夜明けの薄明かりを頼りに、穴あけパンチの紙屑を片付ける。
タローは、私の足元にゆっくりとついてくる。
一声も吠えない。

書斎でもラジオをつけている。
震源地付近の被害は相当にひどいようだ。
私の住む市だけでなく、北海道全域で停電のようだが、停電の全容はまだわからないようだ。
すべてのラジオ局は、地震についての速報だ。

ケージの中と周囲に散乱した穴あけパンチの紙屑を片付け、しばらくタローを膝にのせたままにする。
家に来た日から今まで、こんなに動かないタローを見たことがない。

ラジオは震源地付近の震度を伝えている。
私の所へも、今以上の揺れがくるかもしれない。
また、今の揺れでこれから被害が出るかもしれない。
私も避難しなければならないかもしれない。
家の中は一応見て回ったので、外へ出て見る。
近所の様子は静かだ。
外へ出ている人もいない。
停電だけが被害と言えそうだ。

ポケットラジオとポータブルラジオと懐中電灯は、各部屋にある。
乾電池のストックもある。
カミさんは、自分の懐中電灯とポケットラジオを使っている。
乾電池で点灯するランタンを居間に置く。
カミさんのスマホに市内に住む子どもたちから、安否確認のメールが入る。
それぞれ無事だ。
ライトとラジオを確かめ、水は出ていたが断水に備え、バケツやバスタブに水を入れる。

そうやって動きながら、犬と猫を確かめる。
犬は、ケージの中でじっとしたまま。
猫は、ベッドの下と洋箪笥の中でじっとしたまま。

揺れからほぼ一時間が経つ。
ラジオを聞きながら、寝室に戻り、横になる。
午前四時を過ぎたので、もう少しで明るくなり始める。
<続く>

午前三時、熟睡していた。
目が覚めた。
地震だ。
揺れがつよい。非常に強い。
カミさんが、隣で悲鳴を上げる。
揺れている間は、ベッドの上でカミさんと声をかけあって動かずにいる。
揺れが収まってくる。
スマホのいろいろな警告音が部屋に響く。
枕元のポケットラジオが地震警報を告げる。
部屋の常夜灯が消えている。
ライト、足元に注意、この二つが頭をよぎる。
枕元には常時懐中電灯を置いていた。
LEDライトに室内の様子が浮かぶ。
物やガラスは落ちていない、室内に大きな変化はない。
足元を照らしながら、寝室を出る。
水音がする。
洗面室を覗くと、レバー式の蛇口に棚の上から物入が落ちて、水がこれに跳ね返って床を濡らしている。
蛇口を閉め、キッチンと居間を見る。
居間とキッチンも狭い光源で見る限り、物が散乱している様子はない。
猫二匹は、いつもは寝室か居間にいるのに、二匹とも姿が見えない。
後ろから、猫の名を呼ぶカミさんの声が聞こえる。
居間に置いてあるヘッドライトをつける。
カミさんに声をかけ、ヘッドライトの灯りのもと二階に向かう。
タローは、二階の書斎のケージの中にいる。
書斎に入る。
タローは、ケージの隅にへたりこんでいて、ライトの光の中、私を見上げる。
けがはしていないようだ。
だが、タローがへたりこんでいる周りにドッグフードの粒のようなものが散乱している。
それが、何か、わからない。
とりあえず、タローも無事のようなので、全部の部屋を見る。
一部屋で、CDの棚が倒れていて、CDが床に散乱している。
カミさんは、懐中電灯を頼りに猫を探しているが、見つからない。
全部の部屋を見たので、タローの所に戻る。
タローは、鳴きも動きもしていない。
ケージに散乱している粒のような物の正体がわかった。
本棚の上の段に置いてあった穴あけパンチの抜かれた紙を入れる受け皿が飛び出し、ケージにぶつかったようだった。
カミさんが、まず、カイを見つける。
使っていない部屋のベッドの下にうずくまっている。
次に、シンを見つける。
納戸の洋箪笥(扉は通気のためにいつも開放していた)の隅にうずくまっている。

尋常ではない地震の揺れがあったときに、私たち夫婦は互いの安全が確かめられると、私は犬を、カミさんは、猫を心配するという事実がわかる。
犬は、怯えるが、騒がず(騒ぐこともできず)じっと飼い主を待つ。
猫は、怯えるが、騒がず、家の中で最も安全と判断したところに逃げ込む。
このこともわかる。
ラジオは、地震の詳細はまだわからないことと、落ち着いた行動をとることを繰り返し放送している。
<続く>

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