書斎は犬と同居

子犬を新しく迎えて、我が家のペットは猫プラス犬になりました。

 したばかりの糞尿の臭いは、消すより他に対策はない。
 空気清浄機に期待した。一般的な家庭用のものだ。臭いセンサーがついていて、人間の出す臭いにはかなり敏感だ。自分が原因のときにターボ機能が働いたりすると反省すらさせられる。ところが、ペットの糞尿臭には、このセンサーが反応しない。ペット臭用のセンサー仕様になっていないのだろう。
 いろいろな空気清浄機の機能を検索をしたが、家庭用のもので、はっきりとペット臭対策をあげているものは見つけられなかった。
 代わりに、オゾン発生器なるものをネット検索で見つけた。これは、健康被害の心配もされている面もあるので、一般的な家電とはちょっと違う感じがする。
 しかし、いかに子犬のものとはいえ、居室に動物のうんことおしっこが毎日あるというのも一般ではない。そこで、このオゾン発生器なるものを購入し、試してみた。効果があった。臭いが消えたら、すぐにオゾン発生器を止めるのと、換気をこまめにしながら使っている。
 子犬が家に来て、3週間経つと、子犬がうんこをするタイミングがかなり一定になってきた。それに合わせて、子犬の傍にいて、したらすぐに片付ける。片付ける際には、ペット臭用の消臭スプレーも使う。 
 そして、窓を開放できないときには、オゾン発生器を動かす。
 これで、来客にも気づかれないレベルにまで臭いを消すことができるようになった。

 匂いには、カミさんが敏感だ。カミさんのチェックが始まった。子犬そのもの、犬のトイレ、ケージの床トレイ、そして、ついに元凶を見つけた。
 それは、犬用ベッドだった。これは、ペットショップが展示ケースにいれていたものを、子犬が慣れているのでと持たせてくれたものだった。ベッドは、見た目は汚れているのでも、はっきりと悪臭がするのでもなかった。ベッドに鼻をつけて嗅ぐと、排泄物やら体臭やらのいわゆるペットの臭いが染みついていたのだった。
 これを丸洗いした。これで、子犬のペット臭は容認できるレベルになった。
 だが、なにせ、3か月未満の子犬のことだから、しょっちゅうおしことうんこをする。この臭いをどうすることもできなかった。

 まだ、犬のケージをどこに置くか、決められなかった。とりあえず、私の部屋に移した。子犬とケージ、ケージ内のトイレ、どこからということなく、悪臭が漂う。狭い部屋に移したせいか、臭いはますますこもるようになった。
 犬は、そんな人間のクレームを気にするはずもなく、ドッグフードもまたたく間に食べ、おしっこもうんこも順調にする。
ペット臭対策をとった。
①消臭剤を大量に部屋に置いた。
②犬のトイレは、一度でも濡れたら、すぐシートを取り換えた。
③すぐに取り換えられるように、トイレをもう一つ買った。
④子犬のシャンプーはまだ無理なので、ウェットティシュや湿らせたタオルで、肢やおしり周りをふいた。
⑤他の部屋に置いていた空気清浄機を私の部屋(今や子犬の部屋)に移した。

 それでも、くさい。見せた人みんなに「かわいい」と言われる子犬がくさい!

 怯える、あるいは興奮する、そういう様子は見えなかった。カミさんと二人で、汗をかきながら組み立てたケージの中で、ここは前から自分の棲み処だという顔をしている。
 夜も、鳴きもせずに眠り込んでしまった。さすがにこの夜は、私もケージの傍で、深夜までつきあったが、特にすることはなかった。
 トイレにおしっこもうんこもしたので、トイレの始末をしたくらいだった。
 落ち着かなかったり、夜に鳴いたり、何か困るような行動をするだろう、と思っていたので、拍子抜けした。
 その夜は、2階の空きスペースに置いたケージの中で寝せて、私は1階の寝室で寝た。次の日の早朝、気になるので、明るくなり始めたころに覗きに行こうとした。階段の途中で、異変に気付いた。
 昨日は、それほど気にならなかった臭いだ。我が家では嗅いだことのない悪臭だ!
 案の定、うんこをしていた。急いで、それを片付けて、消臭スプレーも使った。ところが、ペット臭というか、犬の体臭というか、独特の臭いが収まらない。
 起きてきたカミさんはじめ、家族からは、この臭いには耐えられないと、クレームの嵐となった。

 七歳になる兄弟猫がいる。これと犬とを一緒に飼う。うまくいくとは思われなかった。でも、仲良くさせようとか、どうやろうとか、の計画はなかった。なんとかなるだろうとだけ思っていた。カミさんも同じだ。
 今回、また子犬が家に来たので、カミさんとの役割分担がはっきりする。犬がいなくても、猫の主人はカミさんだ。犬がいないと、猫にとって、私の順位が少し上がる。それが、私が犬にかかりきりになると、猫は、よりカミさんに近づく。
 子犬を家の中のどこに置くかさえ、決めていなかった。とりあえず、2階の空きスペースにケージを置き、ケージの中にトイレを置き、給水器をつけた。
 帰りの車の中、子犬は段ボールのキャリアバッグの中でおとなしかった。ケージの中に入れると、すぐに動き回り、給水器から水も飲んだ。おしっこをトイレにしているようだ。
 猫兄弟は、普段から2階へはあまりあがらないので、知ってか知らずか我関せずだった。でも、たぶん犬が入った瞬間からわかってはいたのだろう。
 猫に犬を見せたり、犬を猫に近づけたりは一切しなかった。
 子犬は、ケージの中で、元気なので、抱いて触ることや、声をかけることもあまりしなかった。
 ペットショップで今までのフード1回分を渡され、それと同じ銘柄のフードを1㎏×3を買ってきた。
 子犬に、19時頃に、もらってきたフードをお湯でふやかしたものをやると、一気に食べた。

 検査の結果が異常であれば、次の段階は予測がつく。
①より詳しい検査のために入院。
②治療可能であれば、入院して治療。
③有効な治療方法がない場合は、そのまま経過観察。
 
 ②の場合は、症状に応じたものになり、医師と相談するしかない。その場合も、私は今通院している医療機関の医師の助言を受け容れることを第一にしようと思っている。

 ③の場合は、患者の意思によって選択の幅がある。
③-1 統計として治療の効果があがっていない方法でも、できる限りの治療を受ける。
③-2 現段階では、有効な治療方法がない、いわゆる末期がんと診断されたら、積極的な治療を望まない。

 ③-2 のケースは、緩和ケアやホスピスケアを受けることになる。私ががんの手術を受け、定期検査をしてもらっている病院は、最近ホスピス病棟を新設した。担当医師の助言をもらいながら、最期はホスピス病棟か、この病院と連携している在宅緩和ケアを受けたいと思っている。
 前回の検査から、今回の検査までの間の三か月間で、こういう考えが現実的なものになったと思う。

 ペットショップの引き渡しの中に、同じ建物内の動物病院での健康チェックの段階があった。動物病院では、体温と便検査、触診などを行い、左の睾丸が降りていないこと(それは販売前に既に行われていた健康状態の項目でも指摘されていた)以外では異常はないとのことだった。また、睾丸のことは、そのまま降りてこない場合は、去勢の時に処置できると言われた。去勢は、行ってもらうつもりでいたので、このことは心配しなかった。
 健康チェックの後に、かなり詳細なペット販売契約書の確認や、マイクロチップがすでに体内に入れられていたので、その説明などをタブレットで読みチェックする方法でやった。今までにペットショップで猫(日本犬は繁殖者から直接買っていた)を買った経験はあったが、今回のように詳しい契約書とその確認は初めてだった。
 この日に犬を買うつもりで、ショップに行ったわけではなかったので、準備は何もしていなかった。また、前の犬の時に使ったケージなどはすべて処分していた。そこで、室内ケージ、食器、給水器、ペットシート、ドッグフードなど当座必要なものを、ペットショップに隣接しているペット用品店で購入した。
 それらのことで、二時間ほどかかり、ただ犬を見に行くつもりだったのに、段ボールの箱に入った命と、その用品の大荷物を抱えて、我が家に帰った。

 屋外で犬を飼う人は、現在は少数派だ。猫も外へ出す人は、どんどん減っている。
 室内で犬を飼っている人には、当たり前のことなのだろうが、私のように初めて犬といつも一緒にいる者には、珍しいことが大いにある。それに、今までの二匹は九十日は母犬に育てられてから家に来たので、生後二か月の子犬も初めてだ。
 結論から言うと、人と犬との距離が今までになく近い。前の二匹の日本犬の子犬を飼ったときに、犬の飼い方や犬のしつけについての本を数冊読んだ。そのどれもが、なんとなく私の飼い方には合わないような気がしていたが、その理由が今頃分かった。最近発行された犬の飼い方のガイドは、室内飼いを前提としている。
 
 見ようと思えば、触ろうと思えば、いつもそこに子犬がいる。さらに、私は外出の時間も少ない。
 子犬の活動の中心は、おしっことうんこだ。おしっことうんこ、その始末と臭いをどうするか、ここがまずすべきことだった。
 また、子犬は家に来た日から、私のことを見つめ、家にいる人に触られることを喜ぶのを観察するのも新鮮だった。

 今もキーボードをたたいている私のすぐそばのケージの中で、子犬は寝ながら、かなり大きなうなり声をあげた。夢を見ているのだろうか?

 退職してから、子犬を二匹飼った。
 いずれも、庭に屋根付きのサークルを設置して飼っていた。両方とも、中型の日本犬だった。
 今回は、室内で飼うことにした。犬種は、なんでもよいと思っていた。
 結果としては、ウェルシュ・コーギー・ペンクローブになった。特に理由があったわけではないが、いわゆる洋犬の中では、一番素直に受け入れることができるサイズと姿だった。
 我が家には、今、アビシニアンが二匹いる。この二匹と共に室内で飼い始めた。
 犬と猫は、近づくと互いに警戒している。特に猫は、はっきりと敵視している。
 犬を、ケージの中でほとんど過ごさせることから始めた。

 「前の病気が出て来た可能性もあるが、今の段階ではわからない。」と言われてから、三か月が経った。
 長かった。
 いろいろと思い悩んだ。
 カミさんと再発の場合のことを何度か話し合った。
 今回の画像診断と血液検査の結果は、前回検査時のような変化は見られず、手術後の今までの状態と変わらない、というものだった。
 この状態を、正確には何というのかわからないが、患者としての私の受け止めは、がんの再発はなく、さらなる検査や、新しい治療や、再入院はない、というものだった。言ってみれば、「無罪放免」であった。そうなれば、どんなにうれしいだろう、と思っていた。それ以上に、そうはならなかった場合のことを覚悟していた。
 「無罪放免」となったが、病院の待合室で一人なので、歓声をあげるでも笑顔になるわけでもなかった。とにかく、ホッとして、カミさんにメールで知らせただけだった。
 そして、帰りの運転には一段と慎重になった。浮かれて、事故でも起こそうものなら何にもならないと思った。

 犬を買った。
 子犬を買って、飼い始めた。
 以前に犬を飼っていた私と同年齢の人たちは、異口同音に「今からだと犬の寿命と自分の寿命が同じくらいになる。犬が元気なうちに飼い主の方が世話をされるようになるかもしない。ペットを遺すのは身内には迷惑な話だ」として、新しく犬を飼うことをしない。
 私もそう思っていた。

 だが、漠然とではなく、はっきりとその時期を迎えると、考え方が変わってきた。その時期とは、身体が確実に衰えていく時期であり、いつ余命宣告を受けても不思議ではない時期である。
 私の場合は、犬の世話をできる時間は長くてあと十数年であろう。短ければ、今日一日であろう。どう思案し、シミュレーションしても、将来のことはわからない。四、五十歳台の頃よりは将来は短いということだけが明確だ。
 また、身内に迷惑をかけないような身辺の整理は心がけとして美しいと思うし、そうしたいと思う。しかし、老いていけば、どんなに本人が頑張っても、周囲の助けを借りなければならない。また、持ち物や家や墓などを身内の負担にならないようにするには、全部をきれいさっぱり処分することが結論だろう。だが、そういう処分の時期と、自分の寿命を一致させることは不可能だ。
 そう考えると、自分ができる範囲の暮らしを短いサイクルで続けることが肝心だと思えてきた。

 犬を育てたい気持ちと、新しくきた子犬とのであいを大切することにした。ペットショップの展示犬の中から選んだのであるが、商品を選ぶのとは全く違う。みなさんがよく言う、「小犬と私の目があった」のである。

 子犬中心の暮らしが始まっている。私の部屋は、ケージが占領し、一日に何度も子犬のうんこの始末をしている。

①本人への医師からの余命宣告が特別なことでなくなった。
②都市部の大きな病院では、緩和ケアー、ホスピスケアーが行われるようになった。
③高齢者施設では看取りが、訪問医師の派遣では在宅のホスピス訪問医療が行われるようになった。
 同時に、今までのように、病院の治療病棟で「さようなら」をする人も多い。
 つまりは、世の中と自分の肉体に「さようなら」をする方式を、選択する時代に入ったと感じる。
 その選択肢の中には、従来のままの家族の介護や自分の家を中心としたものも含まれる。最近の実態は、さまざまな場合があるし、考え方も幅が広い。
 たとえばホスピスで「さようなら」をした人を見送った経験のある人と、その経験のない人とでは、ホスピスの受け取り方が大きく違う。同様に、治療方法のなくなった病人を在宅で介護する場合も、その知識と経験のあるなしの差が大きい。
 これは、今の段階では仕方のないことであろう。

 そして、自分のために、新たな段階に入った「さようなら」の方式について、積極的に知り、考えるようにしたいと思う。

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花をきれいな状態で見るなら、花がらは取らなければならない。
でも、種を期待するなら、種が成熟するまでそのままで待たなければならない。
種を期待しなくとも、枯れかけた花も、枯れてしまった草も、そのままがよいかと思う。

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オダマキも花が終わる。

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クローバー、これは、観賞用としてあるのを二、三年前に入れて、庭に定着した。
気をつけないと、増えすぎる。
増えすぎないように、抜いてやるのも大事な仕事。

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